川畑よしともです。今回は、中央区のプレミアム商品券「ハッピー買物券」についてレポートします。
2020年、区民みんなが楽しみにしている「ハッピー買物券」。 大いに期待し、役所の指示通り朝9時に区役所前に行くと・・・
中央区の発行する商品券は20%のプレミアム付きで、中央区民が区政に期待する施策の一つです。少し早めに行ったものの、すでに多くの人々が区役所庁舎前に並んでいました。区役所職員が列を整理する様子もありません。区役所前はすでに混乱の極みです。警察も出動し、最悪の事態だけは回避しようとしていましたが、そもそもなぜこんな事態になったのでしょうか。
なぜ、こんな事態になったのか。原因を探っていくと、区政の課題が見えてきた。
私は、この出来事にこそ中央区政の問題が端的に表れていると考えています。まず、コロナ禍による、区民の経済状況の深刻さに関する認識が甘すぎたのではないでしょうか。
また、販売方法とオペレーションが不十分であった点も指摘せざるを得ません。コロナ禍にも関わらず、先着順での販売であれば、人が集中してしまうことは、容易に予見できたにも関わらず、区民への注意喚起も十分にしていませんでした。だから、あのような混乱を生じさせてしまったのです。
また「ハッピー買物券」は、紙の販売のみでDX化が進む兆しすら見えないというのも、一区民としては首を傾げます。デジタルにして決済後に受け取れるようにすれば印刷や郵送などの経費も削減できます。
販売に先立つ区議会において区議の一人が懸念事項を質問しましたが、区は「準備をしており、人も配置するので大丈夫」との答弁に終始。結果、この区議の懸念通り大混乱となったのです。この経緯を見るに、実際には区民生活の困窮に関心が薄く、当日の販売にも全く危機感を持っていなかったというのが明白なのではないでしょうか。
区民が楽しみにしている「ハッピー買物券」。課題はあるが改善に向けた議論を。
販売時のゴタゴタがあり、翌年からの販売は事前申し込み制となったものの、買物券本体はいまだ紙のまま、デジタル化はされていません。都内でも大田区や目黒区などがいち早くデジタル商品券の販売に着手し、特に目黒区は紙の発行に要するコストを削減、プレミア率を30%にしています。
もう一つ指摘すべき問題が「ハッピー買物券」には年齢制限が設けられており、16歳未満では購入できないということです。理由は「買物券の主目的は地域振興であり、義務教育を終える程度の年齢でないと理解できない」(区議会答弁)との説明には疑問を感じざるを得ません。子供たちこそ優先的に購入できるようにすべきではないでしょうか。
そもそも中央区は財政が非常に豊かであるのにも関わらず「ハッピー買物券」にかける予算額が少なすぎます。本事業予算総額は18億円であり発行コストは5.4億円です。区の予算規模1,248億円のわずか1.4%です。
現下の経済状況を考えれば、消費刺激効果が高く、区内事業者への経済的支援効果も高い「ハッピー買物券」の販売規模の拡大と、年齢制限の撤廃は必須と言えるのではないでしょうか。事業者の経営が改善すれば税収のアップも見込めます。早急に取り組むべきだと考えます。
【ご参考】令和4年度区内共通買物・食事券(ハッピー買物券)の概要(※1)
区内共通買物・食事券の発行/542,683千円
- 発行総額:18億円(プレミアム20%)
- 発行時期:令和4年6月中旬
- 利用期限:令和5年3月末
- 販売方法:区民・在勤者を対象に事前申込制とし、申込多数の場合は抽選(区民優先)とする。
なお、購入対象は、令和4年5月13日で16歳以上の区内在住・在勤者限定(※2)。
[ 出典 ]
※1:令和4年度 中央区予算(案)の概要https://www.city.chuo.lg.jp/kusei/zaisei/yosan/r4/zaisei_time_20220208.files/r4yosanngaiyou.pdf
※2:広報紙「区のおしらせ ちゅうおう」令和4年4月21日号https://www.city.chuo.lg.jp/kusei/kohokotyo/koho/r03/040421.files/20220421.pdf
[ その他参考 ]
中央区公式ホームページ, 中央区の人口・世帯数(令和4年11月1日現在), 2022-11-17最終アクセス. https://www.city.chuo.lg.jp/smph/kusei/statisticaldata/zinko/tyuuoukunozinkousetaisuu.html
中央区公式ホームページ「令和4年度中央区予算(案)」よりhttps://www.city.chuo.lg.jp/smph/kusei/zaisei/yosan/r4/zaisei_20220331.html
目黒区商店街連合会ホームページより
https://meguropretkt.com/
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今回取り上げた「ハッピー買い物券」は、コロナ禍もあり私も含めて中央区民が購入を待ちわびていたものでした。それが、この体たらくです。人々の期待感が大きかった分、失望も大きかったですね。
私たちが今行おうとしているのは、決して犯人探しではなく、この事態に至った原因はなにか、事実をしっかりと見つめて考察し、今後のより良き政策運営に活かしていくことです。
発行コストにかけるお金を削減できたら、必要な方の範囲も広げられます。
東京都内他区では、デジタル商品券の
DXなどにより先進的な取り組みをしている自治体があるのにも関わらず、中央区では改善への機運が乏しく、前例踏襲型の施策をこなすだけになっているのではないでしょうか?そこにこそ予算を投入しDX化した仕組みを構築することが求められているのではないでしょうか。
次回1/14(土)に予定している「にほんばし座談会」では、この「ハッピー買い物券」を取り上げ、課題点の確認とより良い施策の在り方の検討、他自治体の先進的な取り組みを中央区でも実現させるにはどうしたらいいのか等、みなさまと一緒に議論できればと思っております。 ご関心がおありでしたら、以下より、ご参加登録いただければと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
日々感謝の気持ちを忘れず活動して参ります。
川畑よしとも
// 中央区のこれからを考える会 //
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代表|川畑善智 | かわはたよしとも | Kawahata Yoshitomo
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